-オープンソースのSNSエンジン OpenPNEプロジェクト-

導入事例

国立大学法人静岡大学情報学部 様

学生がシステムの内部構造を用意に理解でき、かつ改変・拡張可能なフレームワークを模索した結果、OpenPNEが浮上したのです。

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静岡大学情報学部は「情報システム開発演習」という授業でOpenPNEを利用し、学生達が新しいSNSを構築する授業を展開している。当社は、”OpenPNEを授業材料として利用する”斬新な試みに注目した。

Q1: 松澤様について教えてください。

国立大学法人静岡大学情報学部・情報科学科の助教として、情報システム開発教育の研究に従事しています。専門分野は、情報教育、ソフトウエア工学、情報システム学などです。
特にPBL(Project Based Learning)を応用した授業カリキュラムの設計と評価は私の博士論文となっているテーマで、ソフトウエア技術者のように新しいものを作り出す人材をどのように育成するかを研究しています。

Q2: OpenPNEを導入してSNS構築についての授業を展開されるに至った経緯について
詳しく教えていただけますか。

本年度から「情報システム開発演習」という新しい授業を計画することになりました。
担当は私とソフトウエア工学を専門とする太田先生、森崎先生の3名です。
3人でまず企画会議をしたのですが、やはりテーマと環境が重要であろうということになりました。
テーマに関しては、とにかく学生になじみのあるもの、学生がよく利用者として使っていて、拡張案が実際に役立つものとして提案可能であること、開発を楽しめることを条件に探しました。
その結果、最終的にeコマースかSNSでいこうということになりました。
環境に関しては、手本となるアプリケーションソースコードがあり、学生達がシステムの内部構造を容易に理解でき、かつ改変・拡張可能なフレームワークを探しました。このような議論の結果、 OpenPNEが候補に上がり、実現可能か具体的に考えてみることなりました。

Q3: OpenPNEを導入した授業の目的は何ですか。

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授業の主目的は、情報技術やプログラミング技術のほか、情報システム設計・開発・運用するための基礎的な思考法やマネジメントの方法を実践し、現実の場面で活かせる能力を獲得することです。
この授業は複数の講師が担当しているため、個人的には、「開発の楽しさ」を実感してもらうことを一番大きな目的として授業に臨んでいます。
ぜひ「新しいものを考える時の苦しさと楽しさ」を肌で感じてもらいたいと考えています。

Q4: 授業はどのように進められるのか教えていただけますか。

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学習内容は、SNSを題材として、

1)Webサービスの実現手法を理解する
2)現実のサービスを分析する
3)新しい機能やサービスを提案する
4)それを実装する
5)実装した新しい機能やサービスの優れた点をプレゼンテーションする

について、 4名程度のグループを組んで行うものです。
授業としてかけられる時間は90分 x 2コマ x15週あります。スケジュールは、1週目がガイダンス、その後2~3週でWebサービスの実現手法調査、4~7週でサービス分析と新サービス提案を行い、これが前半の内容となります。

後半はグループで独自SNSの開発を行い、3週でプロトタイプ、中間発表を経てまた3週間かけてブラッシュアップし、最終版を開発します。

Q5: 学生のみなさんがどのようなSNSを構築しているか、具体例はありますか。

先週行われた中間発表で発表された企画一部について、学生当人の了解を得ましたのでご紹介させていただきます。

【学生が授業で考案したSNS】
①「つかれないSNSの提案」丹野貴雄さん ②「聖地巡礼支援サービス」木内健太郎さん

Q6: 学生のみなさんからの反応はいかがですか。

初回授業で手嶋さんに講演いただいた際の、学生の反応をいくつかご紹介します。
手嶋さんの講演に触れ、学生達がやる気になってくれていることが垣間みられると思います。

学生A) オープンなSNSが多いので、今日手嶋さんがおっしゃっていたクローズドなSNSによってメンバーの
結びつきを強くするというのも面白いなと感じました。

学生B) SNSと育ってきたと言っても過言ではないくらい、私たちゆとり世代にとってSNSは切っても切り離せない存在です。学校の中などのパブリックな場で、SNS内の発言やSNSの空気感が徐々に浸透してくることを大抵の人は実感していると思います。良くも悪くもそういったことの影響というのは大きく、そこでの振る舞いは現実世界と同じく緊張感で張りつめています。そんな空間のなかだからこそ、今日おっしゃっていたクローズドでパブリックな空間というものが大切になってくると思うので、 これから学んでいくうえで、そこを中心に私も考えていきたいと思いました。

学生C) 大手SNSの登場により停滞しているように感じていたSNSの新規参入への可能性を見出すことが出来た。

学生D) 演習内ではあるが大手SNS、既存のSNSには無い独自かつ特殊なニーズに応えることの出来るSNSを企画、制作してみたい。

学生E) 講義の枠を超えて、周りの人々に実際に使ってもらえるようなSNSを作りたい。

学生F) 大学生に身近なテーマを用いて、後輩にも需要のあるSNSを考えようと思う。

学生G) SNSを製作することで、HTML、PHP、JavaScript、等々プログラミングのスキルを向上させたい。

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Q7: OpenPNEを導入して実際に授業に取り組まれているなかで、何かお気づきになった点、
改良点はございますか。

細かい技術的な改良の提案や、授業で一斉に使用した際の性能に問題はありますが、大まかには大変よいものを使わせていただいていると考えています。クラウド上でWebシステム開発の授業を行うのは今後のスタンダードになる新しいモデルだと思いますし、初級者から上級者まで様々なレベルでカスタマイズ可能なところも授業で使いやすい点です。
今後の重要になってくる点としては、学生が自分のSNSを構築していくときのカスタマイズ要求に耐えうるかどうかということですね。また、授業の最後にユーザを獲得し、その分析をするというフェーズがありますので、訪問データの分析ツールやAPIの充実もお願いしたいですね。

——–ありがとうございました。今後もよろしくお願いします。

こちらこそ、よろしくお願いいたします。私たちが授業で使った経験をフィードバックすることで御社のソフトウエアの品質向上につながるなど、互いに利益ある関係になるよう努力したいと思います。
ありがとうございました。

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